使用済み「おくすりシート」から化学品原料となる合成ガスの生成に成功
~革新的なケミカルリサイクル技術により、「おくすりシート」を水平リサイクル可能な包装資材へ~
第一三共ヘルスケア株式会社
JFEエンジニアリング株式会社
第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広、以下「第一三共ヘルスケア」)とJFEエンジニアリング株式会社(本社:東京都千代田区、社長:福田一美、以下「JFEエンジニアリング」)は、錠剤やカプセルの包装に用いられる「おくすりシート」(PTP包装)などの使用済みプラスチックから、化学品原料となる合成ガスを生成する工程の実証試験(以下「本試験」)を実施し、合成ガスの安定的な生成に成功しました。

廃棄物処理分野においては、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、資源循環と温室効果ガス排出削減の両立が求められています。従来、医薬品包装として多く用いられる「おくすりシート」は、プラスチックとアルミニウムからなる複合資材であることから分離が難しく、これまで多くが焼却処理または資源ごみとして回収されたのちにサーマルリサイクル※1により処理されてきました。
こうした中、JFEエンジニアリングでは複合資材等も含む使用済みプラスチックについても、化学原料へ転換して再資源化するケミカルリサイクル技術の開発を進めていることから、「おくすりシート」のリサイクルにも適用可能であることを検証するため、本試験を実施しました。
本試験では、第一三共ヘルスケアが「おくすりシート リサイクルプログラム※2」で一般生活者から回収した「おくすりシート」を含む使用済みプラスチックに対し、JFEエンジニアリングの革新的な廃棄物ガス化技術「C-PhoeniX ProcessⓇ(シーフェニックス プロセス)※3」を適用し、合成ガス(CO・CO₂・H₂)を生成しました。
本試験の実施概要
JFEエンジニアリングは、廃プラスチック(使用済みプラスチック)から合成ガスを経てプラスチック原料等へと再生する一連の廃棄物ケミカルリサイクルの確立を目指していますが、今回の試験はこのうち「廃プラスチック→合成ガス」工程(図の緑枠)を小ロットスケールで検証したものです。

引き続き、回収量の増加にも対応し得る新たなリサイクルの選択肢として、より具体的な検証を進めるため、今後建設が予定されている大規模な廃棄物ガス化プラントにより、技術検証を重ねながら社会実装を目指していきます。
第一三共ヘルスケアとJFEエンジニアリングは、今後も両社の強みを活かし、医薬品包装資材という特性上、削減が難しい「おくすりシート」の資源循環確立に向けた取り組みを推し進め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
担当者コメント
第一三共ヘルスケア サステナビリティ推進マネジャー 岩城 純也
今回の試験は、これまで「おくすりシート リサイクルプログラム※2」にご参加いただいた皆さま一人ひとりのご協力があってこそ実現できた取り組みです。心より御礼申し上げます。
「おくすりシート」は、複数種類のプラスチックやアルミニウムなどからなる複合資材であり、当社ではこれまでさまざまなリサイクル方法※1の検討・実証を行ってまいりましたが、マテリアルリサイクルのみでは用途や処理量の面で限界があると感じていました。そうした中、本試験は素材を有効に活用できる可能性を持ち、回収量が増加した場合にも持続可能な循環のビジョンが見えてきた点に大きな意義を感じています。
今後は回収エリアの拡大を目指しながら、生活者の皆さまがより参加しやすい回収の仕組みづくりと、リサイクル技術の検討を両輪として、一歩ずつ取り組みを前進していきたいと考えています。無理のない形で、しかし着実に、生活の中に根づくリサイクルを、これからも皆さまとともに築いていきたいと思います。
JFEエンジニアリング 環境本部開発センター長 奥山 健一
今回の試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業において、環境省、千葉市のご協力のもと実施することができました。心より感謝申し上げます。
本試験で対象とした「おくすりシート」のように、マテリアルリサイクルや他のケミカルリサイクル手法※1では対応が難しい複層材などについても、当社の廃棄物ガス化技術によりリサイクルできる可能性を確認しました。今後さらなる技術検証を進めるとともに、より多くの製造業等企業の皆さまのリサイクルニーズに応えるべく、社会実装に向けた取り組みを加速していきます。
企業概要
第一三共ヘルスケア株式会社
第一三共ヘルスケアは、OTC医薬品領域におけるリーディングカンパニーとしての強みを基盤に、機能性スキンケア・オーラルケア・食品分野へと事業領域を拡大し、生活者の健やかな人生に寄り添うトータルヘルスケア企業として成長を続けています。
私たちの理念を体現するコーポレートスローガン「Fit for You ひとりひとりの健やかな人生のライフパートナー」を掲げ、誰もが安心してセルフケア・セルフメディケーションに取り組める社会の実現に貢献してまいります。
JFEエンジニアリング株式会社
JFEエンジニアリングは、環境・エネルギー、社会インフラ分野における大規模プラントや鋼構造物のEPC(設計・調達・建設)および運営を手がける総合エンジニアリング会社として、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。
パーパス「くらしの礎(もと)を創る・担う・つなぐ ― Just For the Earth」を掲げ、これからも安心・安全なくらしを支える基盤づくりを通じて、持続可能な未来の実現に貢献してまいります。
- ※1リサイクルの種類について
使用済みプラスチックのリサイクル方法には、主に以下の3つの手法があります。
(1)マテリアルリサイクル:再溶融・再成形して新たな製品に変えて再利用する方法。素材の純度や種類の制約を受けやすく、複合素材には適用が難しい場合がある。
(2)ケミカルリサイクル:ガスや油などの化学原料に分解し、再び化学製品やプラスチック原料として利用する方法。複合素材を含む廃棄物にも適用可能な手法として期待されている。
(3)サーマルリサイクル:焼却時の熱エネルギーを発電や温水・蒸気として回収し、電力や熱として有効活用する方法。日本で最も多く用いられている一方、材料としては再利用されず、CO₂排出を伴う。
マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルは、廃棄物を材料として循環させることができる点で、資源循環および脱炭素社会の実現への貢献が期待されています。 - ※2「おくすりシート リサイクルプログラム」について/ 第一三共ヘルスケア
本プログラムは、使用済みの「おくすりシート」を回収・リサイクルする日本初*の生活者参加型プログラムであり、資源として循環する仕組みを確立することを目指しています。
2022年10月に神奈川県横浜市で開始し、現在は薬局・ドラッグストア、病院、公共施設など100カ所以上に回収拠点を展開しています。2025年12月には東京都東大和市へ展開を拡大しており、回収量は2026年5月末時点で20t(おくすりシート約2,000万枚相当)に達しています。
回収したシートは、これまでマテリアルリサイクルによりボールペンやトレー、ベンチなどに再生・活用されてきましたが、このたびの試験成功により、再生プラスチック製品にとどまらず、新たなプラスチック原料として再資源化し、再び「おくすりシート」へ生まれ変わる可能性も広がりました。
* テラサイクルジャパン合同会社調べ(2022年10月20日時点) - ※3“C-PhoeniX ProcessⓇ”(シーフェニックス プロセス)について/JFEエンジニアリング
多様な廃棄物から水素(H₂)と一酸化炭素(CO)を主成分とした精製合成ガスの安定生成が可能で、プラスチックやSAFの原料としての利用や水素源としての活用など、さまざまな「廃棄物ケミカルリサイクル(Waste-to-Chemical)プロセス」への適用が期待される、世界でも類を見ない当社独自の技術です。資源循環およびサーキュラーエコノミーの実現に大きく貢献できるとともに、廃棄物処理に伴うCO₂排出と、リサイクル用途先における化石由来原燃料を減らすことにより、CO₂排出量を大幅に削減できる革新的なプロセスです。
2024年2月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)グリーンイノベーション基金事業「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」に採択され、現在、実証試験を行っています。
以上

本件に関するお問合わせは下記にお願いいたします。
- JFEエンジニアリング株式会社 総務部広報室