2020年12月23日
JFEエンジニアリング株式会社
JFEエンジニアリング株式会社(代表取締役社長:大下元、本社:東京都千代田区)は、新潟県十日町市より使用済み紙おむつをリサイクルし、燃料化する実証設備を受注し、このたび竣工しました。
使用済み紙おむつは一般廃棄物重量の約4%を占めており、高齢化の進展とともに2030年には6%以上にまで上昇すると見込まれています※1。使用済み紙おむつは現状主に焼却処理されていますが、燃料化するなどのリサイクルを行うことで、可燃ごみの排出量削減に貢献します。また、リサイクルを進めることは、地方自治体が焼却施設更新する際の施設規模最適化や処理費用最小化を可能とし、さらに焼却灰の埋立量やCO2排出量の削減も期待できます。
今回の事業スキームは、十日町市内の高齢者施設から排出される使用済み紙おむつを、十日町市エコクリーンセンターからごみの焼却処理に伴い発生する余熱を利用して衛生的に処理した後、燃料ペレットに加工し、排出元の高齢者施設の給湯ボイラー燃料として利用するものです。燃料化装置の熱源はすべて同センターの余熱を利用し※2、使用済み紙おむつは「廃棄物」からボイラーの「燃料」に生まれ変わり、同市におけるエネルギーの地産地消に貢献します。
当社は、十日町市エコクリーンセンター内に設置する燃料化装置と、高齢者施設内に設置する給湯ボイラーまでのシステム全体のエンジニアリングと工事を担いました※3。当社は、紙おむつ燃料化装置を企画・販売する株式会社スーパー・フェイズ(代表取締役社長:木村幸弘、本社:鳥取県西伯郡伯耆町)および株式会社チヨダマシナリー(代表取締役会長:北原哲五郎、本社:埼玉県北葛飾郡杉戸町)と共に十日町市と研究を進め、受注に至りました。今後も3社でこの方式を拡販してまいります。
使用済み紙おむつは今年3月に環境省よりリサイクルのガイドライン※1が公表され、各自治体でのリサイクルが推奨されるようになりました。今回採用した燃料化装置は、同ガイドラインで例示された4種の再生利用方式のひとつ※4に該当し、さらに、リサイクルに必要なエネルギーに清掃工場の余熱を利用するものとしては全国初の事例となります。
当社は廃棄物発電やリサイクル分野のリーディングカンパニーとして、環境負荷の低減およびSDGsの達成に貢献してまいります。
- ※1 使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン(令和2年3月環境省)。 使用済みおむつの廃棄物に占める割合は2015年度の数値を参照。
- ※2 気温が低下する冬期には他の熱源を補助的に利用することがあります。
- ※3 実証設備を利用する実証事業は社会福祉法人十日町福祉会が十日町市と契約締結済み。
- ※4 「破砕・発酵・乾燥処理による燃料製造」の方式。清掃工場の余熱を使用しない方法では、鳥取県伯耆町など全国5か所で実績あり。
受注概要
件名 | 十日町市使用済み紙おむつ燃料化実証施設整備 |
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内容 | 余熱利用設備、ペレット燃料化装置、給湯ボイラーのエンジニアリングおよび設置工事 |
工期 | 令和2年3月19日~12月21日 |
場所 | 余熱利用設備、燃料化装置:十日町市エコクリーンセンター敷地内 使用済み紙おむつペレット対応ボイラー:社会福祉法人十日町福祉会、ケアセンター三好園しんざ敷地内 |
リサイクル概念図
使用済み紙おむつ燃料化装置
- SFD-600(最大処理能力600kg/日)
- 当社は株式会社スーパー・フェイズと清掃工場の余熱を利用した使用済み紙おむつの燃料化に関する特許を申請予定。
使用済み紙おむつペレット対応ボイラー
- 熱量70,000kcаl/h(給湯用)
- 2社の製造メーカー等とそれぞれ共同開発(特許申請済)
- 紙おむつに含まれるプラスチック成分によりボイラ内に付着する溶解塊への対策を施しているのが特徴。
十日町市エコクリーンセンター
- 処理能力:67.5t/24h×2炉
- 竣工:1997年9月
以上
本件に関するお問合わせは下記にお願いいたします。
- JFEエンジニアリング株式会社 総務部広報室