プロジェクトストリー04 ミャンマー初 ごみ焼却発電プラントプロジェクト 前例のないプロジェクトに挑戦するプロフェッショナル

解決できない課題はない。日本とミャンマーを一つに結ぶ解決策

今、世界から最も注目を集めている国、ミャンマーの経済成長が著しい。経済成長と都市のごみ量には密接な関係があり、経済成長と共に排出量が増加することが一般的。ビルやマンションの建設が相次ぐヤンゴン市では、加速度的な経済発展のさなかで、約1,600トンものごみが毎日排出され、処分場に直接埋め立てられているのが現状だ。ごみ排出量の増加に対応するため、処理施設の整備を喫緊の課題と考えていたヤンゴン市は、JFEエンジニアリングに相談を持ちかけた。
海外の自治体が日本の民間企業に直接相談を持ちかけるケースは多くない。特に今回のような、その国にとって初の試みとなれば尚更である。JFEエンジニアリングはこれまでに「外国人技能実習制度」を活用し、ミャンマーエンジニアリング協会(MES)から20年間でのべ242名もの実習生を受け入れてきた。他にも「インターンシップ研修制度」を導入し、定期的にヤンゴン工科大学より学生を受け入れ、現地支店で採用するなど、幅広くミャンマーの技術発展に貢献している。当社が選ばれたのは、こうした数々の実績がヤンゴン市から評価されたからだった。
しかし、年間予算が50億円のヤンゴン市に対して、ごみ焼却発電プラント建設に必要な費用は約20億円。「必要な予算をどのように獲得するか?」。解決不可能とも思える大きな課題だった。ヤンゴン市並びにミャンマー中央政府へ提案を行った三宅は、当時を振り返る。
「財政面からミャンマー側単独での予算獲得は厳しいと考え、何らかの補助金が適用出来ないか模索しました。その中で、環境省の補助金である「二国間クレジット制度を利用したプロジェクト設備補助事業」を活用するスキームを考えました。二国間クレジット制度とは途上国に対し優れた技術を普及させることで実現する温室効果ガス排出削減量を、日本の排出削減量として計上することを目的としたものです。本制度を利用するプロジェクトは、ごみ焼却発電プロジェクトとして当社にとっても、ミャンマーにとっても前例のない試みでした」。
JFEエンジニアリングとヤンゴン市は環境省の補助金及びミャンマー中央政府の特別国家予算獲得という、国境を超えた解決策に挑んだ。

チームを率いて前例のないプロジェクトに挑む

プロジェクトマネジャーには、都市環境本部 海外事業部の大山が選ばれた。
「補助金適用のための関係機関との交渉、ミャンマー初のごみ焼却発電プラント、整備中の法制度などの前提条件により、受注までのプロセスは過去に類を見ない難易度の高いものでした。何より苦労したのは、土質データなど設計条件策定のための各種調査、整備中の法制度を考慮した仕様の作り込みなど、全くゼロから提案をしていく必要があったことです。」
通常、ごみ焼却発電プラントなどを建設する際、発注者は法規制や要求事項など、様々な条件を盛り込んだ仕様書を提示するため、受注者はその条件を基に即見積作業に着手できる。だが、ミャンマーではごみ焼却発電プラントをはじめとしたプラントの建設実績が乏しく、ゼロからのスタートを強いられた。
「当社が仕様から提案できるのも、高い技術力と数多くの実績による信頼があるからこそ。
調査段階では社内に蓄積された知見、長年に渡って築き上げられたミャンマー国内でのネットワークを活用し、各分野の専門家によりスピーディーかつ詳細な調査を行いました。
調査結果に対し当社が誇る技術を結集させ、処理容量60トン/日、年間発電量約5,200MWhのプラントを提案しました。これにより、ミャンマーで不足する電力を補い、年間で約2,400トンものCO2を削減することができます。」
全てにおいて一つの失敗も許されない。これまでにない重い責務が大山に課された。
顧客の弁護士との交渉も数十回を超え、契約交渉は半年以上に及んだ。
「補助金を適用することにより関係者が増えるため、環境省・ミャンマーの中央政府・ヤンゴン市間の様々な調整で、何度もミャンマーに足を運びました」。
環境汚染や人口増加による埋め立て処理の危険性、都市化に伴う電力需給のひっ迫状況を解消するごみ焼却発電プラントの利点など、プロジェクトの意義についてくり返し説明し続けたのである。現地の商習慣に精通するヤンゴン支店の三輪と三宅が顧客との交渉を行い、契約段階では営業の中原が関係各所との調整を行った。大山たちの2年間にもわたる営業活動の結果、プロジェクトの先進性・必要性がミャンマーの中央政府に認められ、特別国家予算を獲得することに成功した。2017年3月の竣工に向けて、新しい歴史を刻むプロジェクトがはじまった。

常に困難に立ち向かうプロフェッショナルたちの挑戦は続く

ヤンゴン市でのごみ焼却発電プラント建設プロジェクトを語る上で、欠かせない2人の人物がいる。土建工事のコンストラクションマネージャを務めた井嶋と、式典準備とサイトの立ち上げに関わった大木である。井嶋は着任早々、難なく敷地造成を行い2ヶ月後に迫った起工式に間に合わせた土木のプロフェッショナルである。
「当時のヤンゴンは雨期。造成工事をすると言っても、いかに工程通りに作業が進められるかが重要でした。液状になる土砂を取り扱うのに一苦労しましたが、排水を工夫することで滞りなく現場をまとめることができました」。
また海外プロジェクト、現法支援グループに所属し、インド・ミャンマー・バングラデシュ・スリランカなど、これまでに数多くの建設サイトを支援してきた大木の活躍があったことも忘れてはならない。
「起工式の段取りや関係各署との調整を担当しました。駐ミャンマー日本国特命全権大使やミャンマー森林保護環境省の書記官、ヤンゴン市長をはじめさまざまな方が出席されたので、プレッシャーもありましたが、滞りなく式を終えたときは言いようのない達成感がありました」。
国境を越えたプロジェクトは常に解決不可能とも思える困難に直面する。だがプロジェクトに携わるメンバー一人ひとりが試行錯誤しながら難題に挑戦し、乗り越えたところにプロジェクトの成功がある。大山は最後にこう語る。
「このプロジェクトを納期通りに納めることが大前提。そして“建設して終わり”ではなく、施設運営の仕組みを構築することで長期間運転してもらうことが、ミャンマーの産業と人々の暮らしの礎を創ることにつながるはずです。それを実現することが私の目標です」。
大山の言葉の端々からにじむ「ミャンマー」への強い思い。プロフェッショナルたちの挑戦に、終わりはない。

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