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2008年4月14日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
JFEエンジニアリング株式会社
これからの省エネ冷房「水和物スラリ」
~今のシステムを活かして10%~30%の省エネ効果~
この度、NEDO技術開発機構とJFEエンジニアリング(株)との共同研究で開発された「水和物スラリ
(1)
」を用いた革新的空調システムが、川崎地下街アゼリアに納入されました。水和物スラリは、従来の空調システム媒体として主流である水に比べて2倍以上の効率的な蓄熱量を実現する特徴をもっており、夏期などの冷房使用時期には安価な夜間電力によって効率的に水和物スラリに冷熱を蓄え貯蔵し、日中にはこの冷熱を冷房に使用する空調システムです。
今回の納入は、大規模商業施設向けとしてはじめて、また、川崎地下街アゼリアは全国3番目の規模を誇る地下街であり、10~30%の省エネルギー効果が見込まれます。
今後、大規模商業施設、オフィスビル、工場などに幅広く導入されることで、省エネルギー効果量35万kL(原油換算、CO2削減効果92万t)が見込まれます。
1.事業の背景・概要
2008年度から京都議定書の温室効果ガス削減期間がスタートしました。京都議定書の目標達成計画では省エネルギーを目的とする研究開発は重要な位置づけとなっています。その中で、特に民生部門でのエネルギー需要は増えていることと、2006年4月より改正省エネ法の施行により省エネルギーに対する取り組みが益々強化されていることから、この分野の省エネルギー対策には大きな期待が寄せられています。
出展:経産省資源エネ庁資料「省エネルギー対策について」
NEDO技術開発機構(神奈川県川崎市、理事長:村田 成二)では省エネルギーの技術開発を推進しており、その成果は、着実に実用化あるいは商品化されています。この度、NEDO技術開発機構とJFEエンジニアリング(株)(東京都千代田区、代表取締役社長:岸本 純幸)との共同研究によって開発された水和物スラリ蓄熱空調システムが、川崎地下街アゼリア(神奈川県川崎市、川崎アゼリア(株) 社長:東山 芳孝)に納入され、システムが稼働を開始しました。
図1.川崎地下街アゼリア
この技術は、1997年の旧通産省工業技術院(ニューサンシャイン計画)が推進してきた「広域エネルギー利用ネットワークシステム」における基礎的研究開発から始まり、2001年からはNEDOの「エネルギー使用合理化技術戦略的開発」において実用化されたもので、増え続ける民生用建物(オフィスビルや工場等)のエネルギー消費の削減に対処する独自の技術です。
水和物スラリを用いた蓄熱空調システムは、蓄熱材として水和物スラリを使用しており、これは化学品(触媒)として普及しているTBAB
(2)
という物質を溶解した水溶液の冷却によって生成される微細な水和物と水溶液の混合流体であり、耐久性もあるためリユースも可能です。
水和物スラリは、従来の空調システムに使用している水に替えて水の2倍以上の冷熱量による効率的な蓄熱性と、優れた流動性により空調配管や熱交換器に直接流すことができる特徴を持っています。この特徴を活かし、冷房用空調等の冷房用搬送・蓄熱の媒体として使用することにより、新しい潜熱空調システムを構築します。すなわち、同じ容量で冷水の2倍以上の蓄熱量(既設水蓄熱槽を水和物スラリ蓄熱槽に変更することで水よりも蓄熱量増加、熱源動力を削減)、既設冷水配管を有効に使用した増熱が可能、安価な夜間電力の効率的な使用、冷水の半分以下の流量で同じ冷房効果となり搬送エネルギーの削減が可能となります。
この空調システムをオフィスビルや工場等に適用することにより、冷房用エネルギー消費量の削減を実現、冷房用を使用する時期には、夜に夜間電力を使用して冷凍機と水和物スラリ製造装置を運転し、蓄熱槽に水和物スラリを貯蔵、昼間にはこの蓄熱槽内の水和物スラリをポンプにより2次側系統との熱交換器に搬送して冷房に使用します。また、熱交換器で放熱された水溶液は再び蓄熱槽に戻され循環します。
図2.水和物スラリ蓄熱空調システム
2. これまで得られた成果
[主な受賞]
○
2006年 4月 第35回日本産業技術大賞 内閣総理大臣賞
○
2007年11月 第17回日経地球環境技術賞
技術的に非常に高い評価を得ています。
[導入実績]
この技術の導入実績は、川崎地下街アゼリアを含めて次の通りです。
○
川崎地下街アゼリア(神奈川県川崎市:延床面積約56,000m
2
)
○
JFEエンジニアリング(株)鶴見事業所ビル(神奈川県横浜市:延床面積約17,000m
2
)
○
JFE都市開発(株) THINK京浜ビル(神奈川県川崎市:延床面積約20,000m
2
)
○
(株)クラレ 倉敷事業所(岡山県倉敷市:延床面積約7,000m
2
)
他 東京都内新築事務所ビル×1箇所、海外事務所ビル×2箇所
某事務所ビルでは、全エネルギー消費量のうち約半分を占める空調用エネルギーの大幅な削減となり、他の省エネシステムの適用による総合的な効果によりエネルギー消費量(一次エネルギー換算)の月間最大42%削減を実現しています。
[海外における評価]
○
日本の蓄熱技術が海外でも認められ、米国カリフォルニア州建築基準の1つに認定
3. 今後の展開、期待される効果
仮に日本全国のオフィスビル、工場などに導入できれば、年間35万kL(原油換算)の省エネルギー効果(CO2削減効果92万t)が見込まれます。
(備考)「NEDO技術開発機構」は、「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の略称です。
■用語の説明
(1)
水和物スラリ:水和物の微細粒子と水溶液の混合流体。
(2)
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロマイド。「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に既登録の化学品で広く普及。安全衛生法、毒物・劇物取締法、消防法(水溶液)に該当しません。
以上
●本件に関するお問い合わせは下記にお願い致します。
JFEエンジニアリング株式会社 総務部(広報担当)
TEL.03(3217)2138
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