食の安全

おいしいだけではなく、安全な食品はどのように守られているのでしょうか。

食の安全

この騒ぎは一体・・・

安全な野菜食の安全への人々の信頼を裏切る事件が相次いでいます。BSE(牛海綿状脳症)の発生、野菜や果物からの残留農薬の検出、生菓子からの細菌の検出、食肉の偽装・・・・と次から次へ、枚挙に暇がない状況です。
ところが、農畜産物の原料がはじめから汚染されていて健康被害に至ったケースは、実はほとんどありません。食中毒のほとんどは、保管状態の悪い食材、調理現場での不衛生行為または動植物が生来保有している自然毒が原因で生じています。戦後最大の集団食中毒事件といわれる2000年6月の乳製品食中毒事件も、製造工程での不適切な温度管理が原因でした。1996年7月のO157集団食中毒事件は、当時カイワレ大根がはじめから汚染されていたとも言われましたが、今ではそれは否定され原因は未だに不明とされています。1999年2月の所沢ダイオキシン騒動にいたっては、汚染されてもいないほうれん草に怯えたような状況でした。
では、なぜ健康被害が起きていないのにこれほどまでに騒がれるのでしょうか。

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底流にあるのは2つの不安

その深層心理には、2つの「見ても分からない」という不安が潜んでいるように思えます。
第一は、食べる前の不安。
現代の消費者は、食に関し、何が安全で何が安全でないのかを自分の目で見分けることができなくなっているのではないでしょうか。かつては見分け方や食べ方を伝える食育システムがあり、たとえば、毒キノコの見分け方や生魚の保存の仕方をだれもが身に付ける機会がありました。ところが現代では、農畜産業や食品加工業の技術進歩により見栄えが良くいつまでも腐らない食品などができたことにより、見分ける能力が求められる場面は減り、食育システムも核家族化の進展にともない壊れてしまっています。マスメディアなどが正しい知識を補完しているかといえば、逆にセンセーショナルな報道が多いため、不安を一層かきたてているような状況です。

そして第二は、食べたあとの不安。
悪いものを食べたら腹を壊す。ところが現代の食品は、食中毒症状というはっきり目に見えるかたちではなく、潜行するように人体を蝕んでいくのではないかという不安がもたれるケースがあります。人に感染すれば10年以上の潜伏期間を経てクロイツフェルト・ヤコブ病を発症するというBSEはその典型的な例といえます。また、スギ花粉症やアトピー性皮膚炎などの疾病も、最近の食生活、とりわけ食品添加物、化学肥料、農薬、遺伝子組み換え、放射線照射といった、昔使われていなかった技術によって生産された食品を、体に悪いと知らずに摂取を重ねてきてしまったことが原因である、と思い込んでいる人も多いのです。
これらが騒ぎの本質なのではないでしょうか?
「食の安全」は、人体に悪影響のある物質の含有量を測ることで定量化できますが、「食の安心」は主観的要素が強すぎてとても定量化できるものではないのです。それでも、人々が求めているのは後者のほうだということがこの現象からよみとれるのです。

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食の情報管理はどうすれば?

人々の心に不安が潜む限り、どんなに科学的に安全な食品を提供しても、人々は食の安全が実現されたとは感じないということになります。食の安全を実現する究極の方策は、安全な食品だけで世の中を埋め尽くそうとすることではなく、(逆説的ですが)安全でない食品の存在を認識することであり、その見分け方や扱い方に習熟すること。言い換えれば、必要なのは、安全性そのものではなく、それをもとに個人個人が判断を下すことができるような、安全性の根拠となる情報の提供ではないでしょうか。正しい見分け方や扱い方を身につけた人は、自信を持って安全な食品を口に運ぶのです。 トレーサビリティという言葉を最近よく耳にしますが、原材料、食品添加物、原産地などの食品表示を義務付ける政策が浸透し、見分けるための情報は年々充実してきています。さらに、作り手や売り手が安全だと主張する食品には、義務付けられているネガティブな情報だけでなく、品質の主張の根拠となるポジティブな情報も付されることも多くなりました。1995年に食品の賞味期限表示が義務付けられた時、それまでの製造日表示をやめるよう政策指導もありましたが、製造日表示が禁止されたわけではないとして、両方とも表示すると決めた食品製造業者もかなりの数に上ったのです。消費者の判断を大事にしたいという姿勢の表れでしょう。
生産者は消費者が求める情報を過不足なく提供し、消費者は意味のある情報をなるべく多く求め、選び、咀嚼しつつ、見る目を養う。そしてそれを次代に伝え広める。遠回りのようですが、結局、この道しか、食の安全を築く道はないのです。

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顔が見えると安心?

安全な食事スーパーの店頭に並んだキャベツの脇に、農家の顔写真が添えられているのを目にします。日に焼けた笑顔は、しかし、どんな方法でキャベツを栽培しているのかを表示しているわけではないのです。そのキャベツが安全かどうかの情報もありません。これで「食の安全」に対する不安は除けるのでしょうか?最近では、ごく一部の野菜について、携帯電話用バーコードなどで具体的な栽培履歴の検索ができる店舗もありますが、提供されている情報を見ると、やはり顔写真と大差ありません。そこには大いに改善の余地があると言えそうです。

JFEエンジニアリングは、食に関する情報管理のしくみづくりを通じ、食の安全に貢献してゆきたいと考えています。