プロジェクトストーリー 勇払天然ガスを北海道のエネルギー供給源に 1992年、当社の前身である日本鋼管㈱が勇払に所有していた敷地内で、石油資源開発㈱が試掘調査を実施したところ、ガス田が発見された。このプロジェクトは天然ガスを井戸元から消費者まで安全に送る一貫したエンジニアリング業務と設備建設の両方を担った長きにわたる壮大な案件である。

寒冷地での闘い。涙がとめどなく溢れる達成感があった

第一プラントの工事では初めての挑戦が多く、特に極寒・豪雪との壮絶なる闘いが待っていた。北海道は寒冷地のため、冬 季は土木工事休止期間があり、その期間は施工できない。19カ月という短納期に間に合わせるには設計時間を圧縮するしかなかったが、設計手順変更が度々起 こり、設計変更に伴い手戻りも発生した。そのため、土木・基礎工事が冬季に食い込み、寒中コンクリート打設を行わざるを得なくなった。土壌が凍土になると 掘りにくくなり、また、コンクリートは固まりにくくなるのである。結局、寒中コンクリート打設を行った後にヒーターで暖めてコンクリートを固める、といった対応を行うなど困難は続いた。
その後も難局は訪れる。豪雪に襲われ、交通網が麻痺しタンクローリーなどで燃料を運ぶことができなくなる危機が訪れた。試運転中のボイラー設備へ燃料を供給出来ないと設備の稼動が止まってしまい、加熱源としている水蒸気が配管の中で凍って使えなくなってしまうのだ。何としても設備の稼動を止めるわけにはいかない。技術者達は他の設備で使っていたショベルカーをハイヤーにして除雪し、灯油ローリーを構内に導いて燃料を補充。何とか火を絶やさずに試運転を続けることに成功した。
技術者たちが初めて達成感を感じたのが、試運転で初めて設備にガスを導入し、フレアスタックというガス燃焼設備に着火した瞬間だ。その灯った炎を目の当たりにした瞬間、皆で歓声を挙げて喜び、拭えどもとめどなく流れる涙に、これがまさに達成感というものかと心を揺さぶられた。
その後もいくつかトラブルがあったものの、無事に客先へ引き渡しを完了。行動を共にしていた客先の担当者と完工祝賀パーティーを行ったが、その席上で「ご苦労さま。設備は引き継ぎましたよ」とお声をかけて頂き、堅い握手を交わした瞬間にもまた熱いものが込み上げてきた。

第一プラントで味わった教訓は、第二プラントで活きる

第一プラントは順調に稼働し続けた。その実績が認められ、新たに3系列目の増設工事、原油設備増強のための貯蔵タンク 建設工事などを連続受注し、設備の拡大が続く。2003年には第一プラントのガス生産能力は 1日240万立方メートル、原油生産能力は1日2400キロリットルにまで引き上げられた。
さらに北海道内におけるガス需要が増したことにより2006年に勇払第二プラント建設工事を受注した。この工事では第一プラントの建設時に苦労したことがすべて良き教訓となり、第二プラントの設計・施工・試運転に活かされていった。例えば、基礎工事は冬季前にすべて終わらせ、設備を寒冷地仕様とすることで、凍結などの寒冷地特有の問題を解消した。第一プラントの建設時に起こった問題は全てトラブルシューティング集にまとめ、次に何があっても大丈夫なように万全に備えた成果が現れたのである。一般に、産出される天然ガスは分離設備によってガスと油に分けられるが、第一プラントではIFP脱湿プロセスという当時世界でも2例目、日本では初となる 工程を採用した。ガスの中に含まれた水分を取り除き、熱量調整などを経て適切な販売ガスにしてパイプラインに輸送するというプロセスだ。ただ、分離した油 は常温下で固化してしまうため、一定温度を常時キープすることが可能なよう油の配管全てにスチーム加温トレースと保温施工を取り入れた。他にも材料選定や 配管設計など随所に工夫を重ねた。オペレーターが使いやすい設備はどうあるべきかを一つ一つ丹念に考え抜いた結果がお客様から信用を得ることに繋がり、第二プラント建設への受注に繋がったのである。

北海道の産業と人々の生活に大きく貢献。次代を切り開いた金字塔に

勇払プロジェクトの成功が認知された結果、当社はその後、国内のガス油田の案件として帝国石油越路原新系列建設工事、石油資源開発片貝鉱場採収設備新系列建設工事など新潟地域の案件を連続して受注した。1994年6月の勇払中央基地工事の初受注から、累積受注金額は 2011年時点で450億円規模。2012年現在で500億円規模に達しようとしている。
勇払プロジェクトは札幌市内~苫小牧市周辺企業へのガス供給を担うとともに、北海道の産業を支えるエネルギー源として甚大な貢献を果たした。北海道内で消費されるガスの高カロリー化(ナフサなど改質が必要な低カロリーガスから、CO2排出量が少なく環境に優しい天然ガスへの転換)が進んだことは、このプロジェクト抜きには語れないだろう。当社が現在推し進めるエネルギープラント事業では、LNG受入基地建設も扱っており、そこでは勇払で培ったプロセス設計や設備・配管施工技術などが脈々と受け継がれている。
約20年間、設計に関わった技術者は「天然ガス採掘施設の施工やパイプライン敷設は、常に危険が背中合わせの現場。野望を持って大胆に行動することも大切だが、同時に細部に神経を張り巡らせて細心の注意を払わなければならない」と語る。安全第一を徹底する厳しい姿勢、確かな品質のモノづくりへの思いもまた、次世代に受け継がれている。
国内では天然ガス採掘場所は数えるほどしかなく、今後は実績と人材のポテンシャルを活かして海外案件の受注に挑戦することになる。勇払プロジェクトは、当社の次代を切り拓いた金字塔としてこれからも語り継がれていくだろう。

PAGE TOP